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大人たちよ、落書きせよ!— 課題の発見から解決までを導く「落書き」の力

29/07/2014

 いつの頃からか、あまり落書きをしなくなった。

歴史の教科書の偉人に施した特殊メイクや、早く終わったテストの裏に描いた

漫画のキャラクター(そういうのに限って会心の出来だったりする)は、

学生時代の良い思い出だ。

先生や周りのクラスメートにバレないようにこっそりと、だけど楽しくシャーペンを走らせていた。

 

高校時代の筆者のノート。落書きというか、もはやお絵描き帳である。

高校時代の筆者のノート。落書きというか、もはやお絵描き帳である。フェリペ二世の扱いのひどさには定評があった。

 

 大人になって、真っ白なキャンパスノートはびっちりと文字が印刷された資料に変わった。

仕事中に落書きをするのは、あまり歓迎されたことではないだろう。

それに、上司にバレたら何を言われるかわかったものではない。

 

 こうして、落書きは密かな楽しみから暗黙の禁止事項へと変わってしまった。
だが、ちょっと待ってほしい。本当は、大人こそ落書きをするべきなのだ。
なぜなら、落書きにはビジネスの場面に必要な「課題発見力」「集中力」「課題解決力」

3つのスキルを高める効果があるからだ。以下で詳しく見ていこう。

 

課題発見力

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 「さあ、落書きをはじめよう」と姿勢を正してから落書きをする人は、あまりいないだろう。

私たちは日常の何気ない瞬間に、ほとんど無意識にペンを走らせているはずだ。

脳科学者の茂木健一郎氏によると、無意識状態の脳はリラックスしており、

普段思いつかないような意外なアイディアが生まれやすくなる。

さらに、落書きは普段あまり使わない右脳を活性化し、左右の脳のバランスを整える。

良いアイディアが思い浮かばなくてイライラしたときは、落書きをしてみよう。

 

 

集中力

 英プリマス大学のジャッキー・アンドラーデ教授(認知心理学)のチームは、

40人の参加者に人と場所の名前を聞かせ、あとでそれを書き出してもらうという実験を行なった。

実験の際、参加者の半数には紙に落書きをしながら聞いてもらった。

その結果、彼らは紙に落書きをしなかった参加者より29%も多くの名前を思い出すことができた。

 

 会議中の落書きは、気が散るのを防ぎ、話に集中するための手段になり得る。

今度の会議では、かつて授業中に落書きをしていたように、こっそり落書きをしてみてはどうだろう。

ただし、落書きに集中しすぎて話の内容がまったく記憶に残らないようでは、

すべての効果が台無しである。

あくまでも耳は話に傾けつつ、気楽な気持ちで落書きしよう。

 

 

課題解決力

 「ビジネス界で最もクリエイティブな100人」に選ばれた米国の作家サニー・ブラウンによると、

私たちが情報を知るためには「見る」「聞く」「読む」「体を動かす」の4つの方法がある。

得た情報をよく検討し、それをもとに行動を起こすためには、

最低でも2つの方法を組み合わせるか、1つの方法とその行動に対する感情的経験とを

組み合わせる必要がある。

 

Photo: "Sunni Brown: Doodlers, unite!" via TED .com

Photo: “Sunni Brown: Doodlers, unite!” via TED .com

 

落書きの素晴らしいところは、4つの方法すべてと感情的経験とを

同時に組み合わせることができる点だ。

ブラウンは、TEDの講演で以下のように熱く語る。

 

   みんな、落書きは知的思考の敵なんかじゃないわ。むしろ最高の味方なのよ

   My friends, the doodle has never been the nemesis of intellectual thought.

     In reality, it is one of its greatest allies.

 

複雑な情報処理や困難な課題の解決が求められる場面でこそ、落書きの力を活用すべきである。

 

 

まとめ

落書きは、非生産的で子供じみた行為であると見なされがちだ。

しかし、実際は課題発見から解決までの思考のプロセスを助ける最強のツールなのである。

今後、もし会議中の落書きが上司にバレて怒られても、

「集中力を高め、真摯に課題と向き合っておりました」と説明しよう。

 

え?もっと怒られた?

 

……。

 

 

リファレンス

 

 

 

(本文・イラスト:カクノ)

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