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『ゲバラ日記』から見えてくる、チェ・ゲバラの人物像

30/09/2014


 

 チェ・ゲバラの主著『ゲバラ日記』を読むと、彼の革命家としての技量に
あらためて感服するのはもちろん、英雄的な扱いをされることが多いゆえに神聖な存在として
触れられがちな彼自身についてよく知ることができる。
彼の性格や性質については様々な書籍にも記載があるが、「静かな男である(ラティーノらしくない)」
「目がとても優しい」「ハンサムである」といったようなことばかりで、今ひとつ彼の性格や性質が
見えてこないのだ。

 

 『ゲバラ日記』から見えてくるチェ・ゲバラという人物は、
とにかく自分と他人とに大変厳しい人である、ということだ。
ひどい喘息持ちであったゲバラは、何度もその身を苛まれたにも関わらずそれに屈することなく、
他の隊員の士気を保ち、作戦を遂行することに尽力した。
文中には何度もやる気のない部下や、失態を犯した部下をゲバラが叱責したという記述が登場する。
ここから、他人にも厳しいチェの姿が見て取れるだろう。
しかし、チェは他人に対して厳しいだけでなく、思いやりもあるし、実績を挙げた部下に対しては
きちんと評価もしている。
そして、指導者にありがちな、自分一人が先走って部下をないがしろにしてしまう、
という失敗もチェは犯していない。いつも周囲に気を配っていた印象を受ける。
そして、抜歯を行う自身のことを「歯医者のフェルナンド」と例えるなど、
ユーモアのセンスも随所に見て取れた。

 

 と、ここまでは手放しでチェを評価してきたが、勿論彼にも欠点はあっただろう。
たとえば、革命を成功させることに情熱を燃やすあまり、安全の確保を
ないがしろにしがちであったことは気になる。
さらに、これは私の憶測でしかないが、最後の数ヶ月間ずっと外部と連絡が取れなかったのは、
外部はとっくにゲバラ一行を見捨てていたからではないだろうか。
というのも、チェは他人を信じすぎる傾向があるらしいのだ。
チェ・ゲバラという人は、政治に携わる人間としては「真っ直ぐ」すぎたのではないだろうか。

 

 チェ・ゲバラの死から早くも五〇年が経とうとしているが、フランスのテレビ局のラテンアメリカ特派員
アラン・アマーは、『フォト・ドキュメントゲバラ 赤いキリスト伝説』(原書房)の中で
「チェという肖像が伝えるメッセージは普遍である」と語っている。
そのメッセージとは、「解放」と「不滅」である。
武装集団であれ、反乱、労働争議、あるいは社会闘争であれ、チェ・ゲバラの遺志を掲げないものはない。
2006年にボリビア大統領に就任したエボ・モラレスも、就任演説で反米を明確に説き、
「この戦いは、チェ・ゲバラに続くものだ」と叫んだという。

 

 チェ・ゲバラの遺志は死してなお一層その輝きを増し、社会体制と戦う多くの人々の中で生き続けている。

 

(ライター:カクノ)

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