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本棚ナルシシズムを究めろ!今年のジャケ買い4選+α!

12/12/2014

 

唐突ですが、FacebookやTwitterで、自分の本棚を撮った写真を載せている投稿を見たこと、あるいは自分の本棚の写真を載せたことはないでしょうか。

 

人の本棚を見るのは楽しいです。本棚を見れば、その持ち主の趣向の一面を垣間見ることができる気がするからです。

他方、本棚を公開することはともすれば「おれこんなスゲエ本読んでるんだぜ!」という自己ブランディングにも見えるので、誰かのそういう投稿をあまり好かない人もいるかもしれません。

 

いずれにしても本棚とは、持ち主にとっては読んだ本だけではなく読みたい本、読みたかった本が蓄積されており、しかも本を買って並べるという行為自体はお金があれば誰にでも可能です。小学生の本棚にボードリヤールが置いてあったって良いわけです。

だから多くの読書家にとって、難しそうで賢そうな本たちが並ぶ自分の本棚は、ナルシシズムの象徴でもあるのではないでしょうか…。

 

であれば・・・

 

見た目にもこだわろうぜ!!!

 

というわけで今回は、「年末なので今年読んだ本で良かったものをレビューします」という定番メニューではなく!本棚に並べたらグヘグヘが止まらないような、今年ジャケット買い(ジャケ買い)して良かった本を紹介します!!

 

実際、本って外見よりも内容ばかり語られがちですよね、当たり前ですけど。

もう少し外見を語ってみませんか。本棚にもっとナルシシズムを表現させるために。

 

 

石岡良治『視覚文化「超」講義』

 

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まずはコチラ。

 

石岡良治・著『視覚文化「超」講義』フィルムアート社
発売日: 2014/06/26
単行本¥2,268
 Cover illustration: John Hathway

 

 

表象文化論を専門としながらネットでも活躍されている石岡氏の著書です。

ハイカルチャーからポップカルチャーまで、視覚文化が広く語られた本書。独自の視点が溢れていて、内容も厚く面白いです。

 

そして、この表紙。

パッと見て僕はなぜか映画『鉄コン筋クリート』やジブリ映画『千と千尋の神隠し』の世界を連想しました。にぎやかなのにショッキングな色は無く、程よくポップで程よく濃さや暗さのある凝った絵。これと、「視覚文化」という一見すると小難しそうなタイトルが上手く絡みあっていますね。
「この本読んだらポップかつハイな知識・教養が得られそう!!」と思った僕は、恵比寿の本屋で中身を見ることもなくジャケ買いしたのでした。

 

本棚に置いても、その絵の面白さとタイトルの小難しさがよく主張されているので、「ああ、難しそうなのにポップでもあるこの本…を持っているオレ…」とナルシシズムに浸れること間違いないでしょう。

というのは冗談だとしても、本書の装丁は本当に素晴らしいです。

 

 

川名壮志『謝るなら、いつでもおいで』

 

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川名壮志・著『謝るなら、いつでもおいで』集英社

発売日:2014/3/26

単行本¥1,620-

装丁・本文デザイン 木下祥

      イラスト 津田貴嗣

 

毎日新聞記者である筆者が、初任地の長崎県佐世保で起きた「佐世保小6同級生殺害事件」でのことを綴った本書。周知のように、同事件の被害者は当時の毎日新聞佐世保市局長の娘でした。直属の「上司」が遺族として「取材対象」となった時、被害者本人とも関係が深かった筆者は、記者としての使命と被害者・遺族の友人としての感情の葛藤に悩みます。本書はその複雑な想いが丁寧に表現された良書です。メディア志望の学生の方にはぜひ読んでほしいと思います。

 

と、内容の紹介はこの辺にして、語りたいのは本書の表紙であります。

「謝るなら、いつでもおいで」。

これは被害者少女の兄の字です。事件当時まだ中学生だった兄が20歳になったとき、筆者が取材すると、兄は「誰も僕のことなんて気にしてくれなかった」ともらしたそうです。少女にもっとも近い存在として抱え続けた悩み、そこから解放された兄の加害者への想いが、字からありありと見てとれるのではないでしょうか。兄の筆であることを知らない人が見ても、きっと「おや?」と思わせるような、不器用さや優しさがにじむ字です。被害者の兄の字を表紙に使うということにも筆者の想いがこもっていて、素晴らしいです。

僕は集英社の雑誌『kotoba』で本書のことを知り、この表紙の言葉と字にとくに惹かれて発売と同時に買いました。良い買い物になりました。

 

 

東浩紀『弱いつながり』

 

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東浩紀・著『弱いつながり―検索ワードを探す旅』幻冬舎

発売日:2014/7/24

単行本¥1,404-

ブックデザイン 鈴木成一デザイン室

装画 長田哲

 

本書について、以前gotamagでもカクノさんが記事で取り上げました。

作家で批評家の東浩紀氏が「旅人」とも「村人」とも違った第三の「観光客」という生き方を提示した刺激的な内容です。

 

一般的に使えばネガティブな言葉である「弱さ」をキーワードとしてむしろ積極的に捉える本書は、「弱いつながり」というタイトルだけでもキャッチーだと思いますが、何よりこの徹底的な静けさに充ちた装丁が素晴らしいです。「弱さ」と「静けさ」がよくマッチしています。

帯が付いたものがコチラ。

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(出典:amazon.co.jp

 

これも静かな色合いで良いのですが、なによりこの帯を外したら下は真っ白だというのがお洒落ですね!

東浩紀氏の著書は本書に限らず秀逸な装丁です。総じて静かな表紙なのですが、それがかえってお洒落に見せています。

ちなみに改めて言うまでもなく、著書はどれも内容に相当厚みがあります。写真にある『弱いつながり』と『一般意志2.0』はとくに読みやすい言葉で書かれているので、まだ読まれていない方にはぜひオススメしたいと思います。

 

 

 

雑誌『MONKEY』

 

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文芸雑誌『MONKEY』スイッチパブリッシング(柴田元幸責任編集)

季刊¥1,080

アートディレクション 宮古美智代

 

お次は雑誌からです。

柴田元幸氏が責任編集を務める文芸誌『MONKEY』。これはもう内容も表紙も素晴らしすぎる!

僕がこの雑誌と出会ったのは大学の書店。棚に並んでいたのはNo.3『こわい絵本』でした(写真手前)。

表紙がとにかく不気味すぎて目が留まりました。なんなのだこの生き物(?)は。

その絵と一緒にあるのは雑誌タイトルと特集「こわい絵本」のみ。極めてシンプルなのですが、描かれた得体のしれない何かの発する不気味な雰囲気が特集名ともマッチしていて、「これはすごい雑誌だ」と確信。すぐにレジへ持っていきました。

 

他の号でもかなり凝られた表紙です。

できれば雑誌ラックを買って表紙を見せた状態で並べておきたいところですね。

内容について言えば、特集内容はもちろん、柴田氏とゲストとの対談や、川上弘美や村上春樹の連載もあり、とても充実した文芸誌です。ぜひ、オススメします。

 

 

番外 池澤夏樹=個人編集『世界文学全集』

 

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(出典:紀伊國屋書店ホームページより

 

池澤夏樹=個人編集『世界文学全集』全30巻 河出書房新社

全30巻セット価格:¥86,400

 

2007年以降順次発売されてきた池澤夏樹氏個人編集による文学全集です。

ちょうど11月から池澤夏樹=個人編集『日本文学全集』の刊行が始まりました。

池澤夏樹=個人編集『日本文学全集』全30巻 特設ページ

 

僕は今年の夏に世界文学全集を思い切ってセットで購入しました。

さすがにジャケ買いという訳にはいきませんでしたが、この全集の装丁がとても良いです!

ご覧のように、濃い色が使われていて、かつこれだけカラフルなので、本棚に並べるととても映えます。

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素晴らしいですね…。柄が揃っているので一貫性もあるし、色合いの多彩さも素敵です。

余談ですが僕はこの本棚の見た目を気に入りすぎて、ツイッターの背景画像もこれにしております。
(ただ、あまりそれが本棚だと分からないように…。)

 

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カラフルな言葉たちが降ってくるこの感じ、うっとりする…。おっと失礼。

ナルシシズムの披露はこの辺にして、まとめに入りましょう。

 

 

おわりに

 

いががでしたか。
今回は本そのものの装丁の、とくに表紙に注目しましたが、色んな本の背表紙を合わせて本棚の見栄えを良くする方法もあるでしょう。

 

ちなみに僕は、自分の本棚についてのナルシシズムは、自分だけのものだからこそナルシシズムなのだという持論があるので、自分の本棚を「本棚だ」と分かる形でSNSなどにアップしないようにしてきました(ほぼ)。そういうわけで本記事でも一部写真をボカすなど心掛けましたが、結局ナルシシズムを炸裂させてしまいました。

 

「本棚」という光景は、自分の趣向の変化や思い出が記録・蓄積されている、とても魅力的なものです。その光景に、ときに本をジャケ買いして、彩りをもたせてみても良いかもしれません。

 

 

(ライター:マチドリ

 

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