(済)0714_湯浅_ググっても出てこない_00

ググっても出てこない情報っていったい?

16/07/2014



湯浅拓です。未来は明るいに越したことはないですが、お花畑なのはちょっと。。。

そんな未来とか言っている僕も、昔は野球選手になりたいなどとぬかしていたのは、若気の至りならぬ、ちびっ子の至りでしょうか。だいたい皆そんなもんか。#TBT


ところで、7/3(木)に代官山蔦屋書店で行なわれた、長澤秀行さんの著作『メディアの苦悩』の出版記念トークイベントに、藤代裕之さんが担当している大学院の授業の一環で参加してきました。トークイベントの登壇者は津田大介さん、菅谷明子さん、長澤秀行さんの御三方でありました。ジャーナリズム界隈の方々には説明不要のメンバーかと思います。(意外にも御三方は初対面だそうです。)

いくつかのキーとなる言葉でこのトークイベントをまとめてみました。

 

メディアは変化しているがジャーナリズムはどうなのか?

新聞社:危機感はあるが、やはりまだ余裕がある。

新興ネットメディア:マネタイズ優先。ページビュー至上主義になっていないか?

菅谷「昔のジャーナリズムの仕事は、『録音スタジオで録音した歌を聞く』ようなスタイルだった。今はジャズみたいな感じ」(ここで言うジャズは「Be-Bopという即興演奏スタイルのことであろう。)


「新聞vs 新聞」ではない

米国の新聞の危機と日本の新聞の危機は同じように扱われるが、性質が違う。

→なぜなら、米国は利益の8割を広告に頼っているからだ。日本の発行部数で経営を支えているモデルとは、やはり危機の性質に違いが出る。

「新聞の読者」ではなく、ニュースを読むユーザーを競っているので、もはや新聞vs新聞という構図ではなくなっている。今や、すべてのメディアとの可処分時間の奪い合いだ。


ググっても出てこない情報

例)Dollars for Docs http://projects.propublica.org/docdollars/

米国の非営利ジャーナリズム団体「プロパブリカ」が手がけた調査報道。製薬会社のお金が医師にどれだけ渡っているのかといった情報を発信している。献金をもらっている医師のトップリストも表示。もちろん、ユーザーが献金リストのデータベースにアクセスできるようにした。サイトでは、このデータをどのように医師とのコミュニケーションで使えば良いのかということまで指南してくれる。結果的に、患者(市民)はこれまで医師から唱道された情報のみを参考にして医療を受けていたが、このデータを医師に見せることでセカンドオピニオンや治療における代替案の提示を促すことができるようになった。

←このような情報は調査報道で明らかにならないと、ググっても出てこないものである。


公共性や調査報道の訓練は新興デジタルメディアでも可能?

現在はマスメディアがジャーナリズムのインキュベーションとして機能しているが、はたしてこれからもその機能を担い続けられるのか?また、現状のネットメディアにその役割は担えないのではないかという声が多数。(以前から言われていることでもある。)

←そのために、マスメディアの記者がネットメディアに行くことは大事だったりする。

※でも、実状はそう簡単でもない。(給与の問題だけでなく。公共性も低く、上げにくい)

ただ、東洋経済オンラインの編集長だった佐々木紀彦さんが経済系キュレーションメディアのNewsPicksへと移ったことは、これからメディア業界の人材異動に影響を与えてくるのではないだろうか。


これからのメディアに求められるのは『自分でコンテンツを作りつつアグリゲーションもするメディア』

日本の良質なネットメディアの特徴としては、営業が優秀であるということもあげられる。

田原総一朗さんは自分の番組をやるために自ら広告を取ってきたこともあった。トップの人間がトップ営業でネイティブアドを取ってくることもあるだろう。ただ、優秀な経営者は兼業で忙しく自分で記事を書く時間がなくなってしまう。また編集の独立権も広告先から確保しなければならない。


自分(の思想)を知る

ジャーナリズムで大切なのは公共性や人権。問題の水面下になにがあるのか(起きているのか)を理解し、世界をどう変えていくのかという意識が必要である。調査報道をしているプロパブリカは日々のニュースを追いかけていない。メディアリテラシーを身につけることは難しいと思われがちだが、そうじゃない。人が真実と思うことは、自分が信じていることに近い。だから、まずは自分の思想を知る。自分が何の情報を得ているかを知り、何が語られていないかを知ることが必要。わかりやすく例えると、「フード・ピラミッド」(注1)のように自分のバイアスを知ることが大事。しかし、Googleの検索機能は「フィルターバブル」(注2)によって、既に自分に適しているだろうというアルゴリズムを基にして検索結果が表示されてしまう。そのため、本当に自分が知らないこと、反対意見などを閲覧することが難しくなっている。なので、自分の関心がないところから情報を取りに行くということが、多様な視点を持ち、自分のバイアスを知るためにも、今後大事になってくる。


トークイベントの締めの言葉として、長澤さんは

「儲け中心のネットメディアではなく、公共性を持ったネットメディア・ジャーナリズム環境に対する期待をして」という言葉を残されました。


※本記事はTwitter実況「#メディアの苦悩」を参考にさせていただきました。


長澤秀行著『メディアの苦悩』(光文社新書)


追記

最近のメディアイベントは聴講者も豪華なので、アフターの会であーだこーだと有意義にしていきたいですね。


注1:ヘルシーフードピラミッド(Healthy eating pyramid)とは、ハーバード大学医学部公衆衛生大学院のウォルター・ウィレット教授らが作成したイラストで示される食生活指針である。(wikipediaより)この形のように情報を階層で分け、自分のバイアスを認知しようと。

注2:検索エンジンの検索結果がユーザー個々の嗜好で変化するフィルター機能によって、一方的な見地に立った情報しか手に入らなくなることを例えたもの。(Weblio辞書より)


(ライター:ユアサ)

Pocket