20/12/2014
先々週のgotamag記事では、オーケストラやカルテットといったクラシック音楽を演奏する人々の
人間模様が描かれた映画について特集しました。
今回は、作曲家や演奏家を題材とした映画をご紹介したいと思います。
ドキュメンタリーではないので、実際のところは分かりませんが、
こんなことがあったかもしれない…と思わせる作曲家や演奏家達に
想いを馳せてみるのはいかがでしょうか♪
*作曲家編
『アマデウス』
『不滅の恋 ベートーヴェン』
『マーラー 君に捧げるアダージョ』
『わが愛の譜 滝廉太郎物語』
*演奏家編
『ナンネル・モーツァルト 哀しみの旅路』
『クララ・シューマン 愛の協奏曲』
『パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト』
『シャイン』
*番外編
『譜めくりの女』
原題:Amadeus
製作年:1984年
製作国:アメリカ
日本公開:1985年2月16日
配給:松竹富士
ストーリー
1823年11月のある夜、ウィーンの街で自殺をはかった老人・アントニオ・サリエリが、精神病院に運ばれた。彼は病床で「許してくれ、モーツァルト!君を殺したのは私だ」と言い続けていた。後日、病状が安定したサリエリを神父フォーグラーが訪問し、話を聞こうとする。当初は神父を蔑み拒否していたサリエリだが次第に軟化する。そして、にわかには信じ難い驚愕すべき内容の告白を始める。
ーWikipediaより
モーツァルトの才能が分かり、それゆえに自分に才能がないのも分かってしまうことで
嫉妬に苦しむサリエリから見たモーツァルトが描かれる作品。
個人的に、モーツァルトの曲は
カラフルなスーパーボールをバケツ一杯ひっくり返したようなイメージで、
軽やかにポンポン飛び跳ねている印象なのですが、
そこから感じられる「チャラさ」がよくあらわれていると思いました。
天才であるモーツァルトの視点ではなく、
より一般人に近く、(モーツァルトに比べて)凡庸なサリエリの視点から
というのが共感を呼ぶ一因でもあると思います。
なぜか我が家にはDVDあります。
(予告編動画はありませんでした)
原題:Immortal Beloved
製作年:1994年
製作国:イギリス・アメリカ合作映画
日本公開:1995年12月1日
上映時間:121分
配給:ギャガ
ストーリー
1827年、ウィーン。一人の偉大な作曲家が息を引き取った。彼の名はルードヴィッヒ・ヴァン・ベートーヴェン。耳が不自由だという、音楽家としては致命的な困難を抱えながらもその才能で数々の名曲を残した男。その死後まもなく、彼の書いた遺書が発見された。そこには彼が〈不滅の恋人〉と呼ぶある一人の女性に想いを込めて書かれた愛の言葉がしたためてあった……。
—Yahoo!映画より
『ハリー・ポッター』シリーズでシリウス・ブラックを演じていた
ゲイリー・オールドマンが演じるベートーヴェン。
ベートーヴェンの死後、弟子であり親友でもあったアントン・シンドラーが
遺書に書かれていた「不滅の恋人」を探す物語なので、
ベートーヴェンの生涯を描いたものではありませんが、
観客のレビューもかなりの好評価です。
また、ベートーヴェンを描いた映画には他にも
『敬愛なるベートーヴェン』という作品があります。
こちらは、もし『交響曲第九番』誕生の裏にベートーヴェンを支えた女性がいたとしたら…
ということで架空の女性を登場させて描いたものです。(予告編はこちら)
ベートーヴェンはその生涯をよく知られているせいか、
彼の生涯を正面から扱った作品は少ないようです。
代わりに、制作者達の妄想思いが作品ごとに現れているようにも思えます。
原題:Mahler auf der Couch
製作年:2010年
製作国:ドイツ・オーストリア合作
日本公開:2011年4月30日
上映時間:102分
配給:セテラ・インターナショナル
ストーリー
世紀末ウィーンを代表する大作曲家で、スター指揮者のグスタフ・マーラー。類まれな美貌と音楽的才能で、画家クリムトなどの芸術家を魅了したアルマ。誰もが羨む理想の夫婦であったが、19歳の年の差と、マーラーがアルマに作曲を禁じたことで生じた亀裂が、愛娘の死によって悪化してしまう。アルマは療養先で知り合った5歳年下のグロピウスに慰めを求め、その事実に困惑したマーラーは、精神分析医フロイトの元を訪れる…。
—『マーラー 君に捧げるアダージョ』公式HPより
個人的には、たっぷりこってり胃もたれ系な曲が多い印象のマーラー。
そんな彼と彼の妻を描いた作品です。
19歳も年の離れた奥さんがいたなんて知りませんでした…
作曲家って、どうしてこうもみんなドラマチックで波瀾万丈な人生なのでしょうか。
今度、マーラーを弾く機会があるので、その前にぜひ見ておこうと思います。
製作年:1993年
製作国:日本
日本公開:1993年8月21日
上映時間:125分
配給:東映
ストーリー
『花』『荒城の月』などの名曲を生み出し、23歳10ヵ月という若さでこの世を去った滝廉太郎の没後90年を記念して作られた伝記映画。東京音楽学校でピアニストを志すが挫折、それでも音楽への情熱を捨てず、ドイツに留学。そんな彼の青春を憧れの女性ピアニスト・中野ユキとの恋模様を軸に描き出していく。
—ぴあ映画生活より
クラシック音楽の作曲家は外国人がほとんどなので、
どうしても洋画ばかりの紹介になってしまいましたが、
調べたところ、日本人の作品も発見しました。
学校の教科書で必ず出てくる、滝廉太郎。
伝記映画ということで、本作を見てから曲を聴けば、
作曲の経緯や背景などに思いを馳せることができて、また違ったものに聴こえてくるでしょう。
原題:Nannerl, la sœur de Mozart
製作年:2010年
製作国:フランス
日本公開:2011年4月9日
上映時間:120分
配給:アルバトロス・フィルム
ストーリー
18世紀、ザルツブルク出身のモーツァルト一家が欧州各地を巡る演奏旅行に出て3年の月日が流れていた。11歳の息子ヴォルフガング(ダヴィド・モロー)のヴァイオリンと、15歳の姉ナンネル(マリー・フェレ)の伴奏は各地で絶賛を浴びる。ある日、パリのベルサイユ宮殿に向かう途中で馬車の車輪が壊れたため、彼らは修道院に助けを求める。
—Yahoo!映画より
モーツァルトの姉を主人公とした映画です。
女性は演奏、作曲は男性だけがするものという時代背景のもと、
弟モーツァルトとの比較による評価に翻弄される姿を描いています。
男尊女卑的な時代の女性の苦悩が感じられるようで、
レビューや口コミにもそれに関するコメントが多く見られます。
英題:GELIEBTE CLARA
製作年:2008年
製作国:ドイツ・フランス・ハンガリー
日本公開:2009年7月25日
上映時間:109分
配給:アルバトロス・フィルム
ストーリー
ピアニストとしてツアーを回りながら、作曲家の夫ロベルト(パスカル・グレゴリー)の妻として、7人の子どもの母として、多忙な日々を送るクララ(マルティナ・ゲデック)。そんな彼女の前に、若き新進作曲家ヨハネス(マリック・ジディ)が現れる。自分の才能を評価してくれるクララに対し、ヨハネスは敬愛の念を寄せるが……。
—シネマトゥデイより
作曲家シューマンの妻で、ピアノ奏者でもあったクララ・シューマンを題材とした作品。
さらに、若き日のブラームスまで登場するのですから、
なんと豪華な物語でしょう…!
各方面への失礼を承知で分かりやすく例えれば、
山田優・小栗旬と松本潤の3人を題材とした物語…といったところでしょうか?
(何とかして豪華さを伝えたくて思いついた完全なる妄想です。すみません)
原題:THE DEVIL’S VIOLINIST
製作年:2013年
製作国:ドイツ
日本公開:2014年7月11日
上映時間:122分
配給:アルバトロス・フィルム / クロックワークス
ストーリー
1830年のイタリア、並外れた才能を持ちながらも不遇の日々を送るバイオリニスト、パガニーニ(デイヴィッド・ギャレット)の前に突如現れたウルバーニ(ジャレッド・ハリス)は、彼を著名なバイオリニストにしてみせると約束。ウルバーニはさまざまな手段を用いて名門劇場での公演を成功に導き、パガニーニは一躍富と名声を手に入れる。成功後も放蕩(ほうとう)生活を送る彼のもとに、ロンドンデビューの話が舞い込む。
—シネマトゥデイより
この夏に公開されていた本作品。
見たいと思いつつ見られませんでした。無念。
パガニーニは超絶技巧で有名なヴァイオリン奏者です。
「パガニーニの演奏技術は、悪魔に魂を売り渡した代償として手に入れたものだ」
と噂されるほどのテクニックだったという伝説(?)もあるぐらいで、
シューベルトやリストにも影響を与えたと言われています。
本物のヴァイオリニストであるデイヴィッド・ギャレットが
主演・製作総指揮・音楽を務めたとのことで、個人的には
演奏会のシーンに期待が高まっています。
予告編動画はこちら↓↓(動画の埋め込みができませんでした)
https://www.youtube.com/watch?v=uZ8wqVP4I9U
原題:Shine
製作年:1996年
製作国:オーストラリア
日本公開:1997年3月22日
上映時間:105分
配給:KUZUIエンタープライズ
ストーリー
メルボルンに生まれたデイヴィッドは、厳格な父親の元、ピアニストになるべく英才教育を受けていた。天才少年と呼ばれた彼の元に、イギリスの王立音楽院に留学する話が持ち上がるが、父親がそれを許さなかったため、家を飛び出す形でロンドンに渡る。ロンドンでピアノに打ち込むデイヴィッドは、コンクールで難関であるラフマニノフの「ピアノ協奏曲第3番」に挑戦し、見事に弾いたものの、その後精神に異常をきたし始める。
—Wikipediaより
実在のピアニストであるデイヴィッド・ヘルフゴットの人生を題材とした映画。
映画内の演奏や、手のみを撮影した映像は本人のものだそうです。
主演のジェフリー・ラッシュは、
本作で第69回アカデミー賞主演男優賞をはじめ多数の映画賞を受賞しました。
彼は14歳までピアノを習っており、この映画のために数十年ぶりに練習を再開したとか。
バルボッサ船長、多才ですね!
それにしても、天才的な人だから極限までやりきれるのか、
極限までやりきれるから天才なのか…とついつい考えてしまいます。
原題:LA TOURNEUSE DE PAGES
製作年:2006年
製作国:フランス
日本公開:2008年4月19日
上映時間:85分
配給:カフェグルーヴ / トルネード・フィルム
ストーリー
かつてピアニストを目指す少女だったメラニー(デボラ・フランソワ)は、ピアノの実技試験中、審査員の人気ピアニスト、アリアーヌ(カトリーヌ・フロ)の無神経な態度に動揺してミスを犯し、ピアニストの夢を絶たれる。その後、アリアーヌに再会したメラニーは、演奏会の成功の鍵を握る“譜めくり”に抜てきされるが……。
—シネマトゥデイより
番外編としてご紹介するのが、奏者を支える『譜めくりの女』です。
何もせずただ横に座っているだけに見えて、
実は音楽に最も影響力を持つ存在とも言える「譜めくり」。
復讐のためにその存在を利用して近づいていく様子は、
予告編だけでもその不気味さ、怖さがよく現れています…
精神的な怖さに耐性のある方はぜひお試しください。
いかがでしたでしょうか。
それにしても、芸術に関わる人物を題材にすると、
どろどろの恋愛が目立つのはなぜでしょう…笑
そして、芸術家という肩書き(?)の免罪符感があるような気がするのは私だけでしょうか。
リファレンス
Wikipedia
Yahoo!映画
(ライター:シムラ アイキャッチ:映画.com)
© 2022 gotamag