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あなたのギタリストに対するイメージを覆す『変態』プレイヤー5名

06/10/2014

 

日本のギターヒーローといえば、誰を思い浮かべるだろうか。

 

よく名前が挙がるのはB’zの松本孝弘や『キル・ビル』の音楽を担当した布袋寅泰、1960年代にレス・ポールと並んで「世界三大ギタリスト」と評された寺内タケシなどだろう。またはCharや「X JAPAN」のhideを挙げる人もいるかもしれない。

 

確かに彼らは、演奏技術やオリジナリティなどすべてにおいて、誰が見ても超一流だと分かるほどの実力の持ち主だ。

 

しかし、日本にはもっと独創的で、言ってしまえば「変態」としか形容しようがないギタリストたちがいる。

そんな「ギター」という既成概念をぶち壊すほどの個性溢れる日本のギタリストたちを紹介しよう。

 

 

 

AxSxE from NATSUMEN (ex.BOaT)

 

 

もしも僕が「日本で1番好きなギタリストは誰か」と聞かれたら、迷わず「AxSxEさん」と答える。90年代後半にAxSxEを中心に結成された「BoAT」は、AxSxEを含む男女ツインボーカルでポップな楽曲が特徴だったが、2001年の解散後はハードコア・フリージャズバンドの「NATSUMEN」を結成。よりプレイヤビリティが求められるジャンルに挑戦している。

 

AxSxEほど、自らの感情をロスなくギターの音に乗せて表現できるプレイヤーは日本にいないだろう。もはや、彼にとってギターは「道具」という枠を超えて、声帯のように身体の一部になっているように思える。ギターの演奏が上手くなることと、ギターを思いのままに演奏することは異なると思い知らされるプレイヤーだ。そういった意味で、僕はAxSxEを「最もギターを『自由に』プレイできるギタリスト」であると評したい。

 

 

 

TAKUYA from JUDY AND MARY

 

 

「JUDY AND MARY」については改めて説明するまでもないが、ギタリストであるTAKUYAのプレイに注目したことはあるだろうか。彼のプレイの特徴は、とにかく芸が細かいところだ。通常では8ビートでリズムを刻めばいいような場面でも、必ずフックのような細かいプレイを入れてくる。これは楽器演奏者がスリーピースであり、アンサンブルを埋めるようなプレイが求められていたことも影響しているのだろう。

 

僕がTAKUYAに憧れてJUDY AND MARYをコピーしようとスコアを買ったとき、びっしりと埋められた音符とリズムの複雑さに驚愕した覚えがある。JUDY AND MARYはメンバー全員がソングライターだったこともあり、スローテンポなものから激しいロック調のものまで幅広い楽曲があったが、TAKUYAのプレイはその音楽性に応える懐の深さも備えている。

 

 

 

大竹康範 from sajjanu

 

(右側が大竹)

 

まずは上記の動画を最後まで見て欲しい。めまぐるしく変わる展開と変拍子と大竹の圧倒的なテクニックに度肝を抜かれるはずだ。ここで挙げたギタリストのなかで最も「変態」という言葉が似合うプレイヤーではないだろうか。ギターの上手さにも色々な要素があるが、「真似できない」という意味では群を抜いていると思う。

 

「sajjanu」はギター2人にドラムという変則的な編成のインストゥルメンタルバンドだが、過去には「マヒルノ」というサイケデリックロックバンドでも演奏しており、歌モノの曲でもバンドアンサンブルの一部として柔軟なプレイを見せている。惜しまれつつも解散してしまったが、個人的にはマヒルノのときのプレイのほうが好きだ。マヒルノ『シーソーと迷子のための小品』は必聴の名曲。

 

 

 

MIYAVI(雅)

 

 

自身が出演するロッテのCM曲などでおなじみのMIYAVIは、エレキアコースティックギターを、ピックを使わずに指で演奏する「スラップ奏法」が特徴だ。これは、親指で弦を叩いたり、人差し指や中指で弦を引っ張って弾いたりするベースの「チョッパー」という演奏方法をギターに応用したもの。コードストロークやギターソロでは、右手の爪をピック代わりにして弾く。複雑な演奏スタイルにも関わらずヴォーカルもこなすところが凄い。ギター1本でリズムとベース音と和音を同時に提示できるため、ドラマーのBOBO(from 54-71)とともにギターとドラムというシンプルな編成でライブ活動をしている。

 

もともと「Dué le quartz」というヴィジュアル系ロックバンドで活動していたこともあり、派手なプレイスタイルとも相まって、演奏する姿がとにかく格好いい。海外でも活躍しているため、「サムライギタリスト」と呼ばれることも。

 

 

 

吉兼聡(カシオマン) from ZAZENBOYS

 

 

元「ナンバーガール」の向井秀徳率いる「ZAZENBOYS」のギタリスト。通称カシオマン。カシオマンが弾くフレーズは独特で音楽的ルーツがよくわからず、無機質に聞こえる。しかしその「冷たさ」が、ZAZENBOYSの殺伐とした緊張感のあるアンサンブルによく合っている。演奏中のカシオマンはほとんど動かず首を微妙に揺らすくらいだが、ギターソロになると狂ったように暴れだす。そしてギターソロが終わると、また正確無比なプレイにもどるという、「静」と「動」を併せ持つところが魅力だ。

 

また、上記の動画で3分42秒くらいの謎の動きは「カシオダンス」と呼ばれており、最近はあまり見られないがデビュー当初はよくライブでも踊っていた。

 

 

おわりに

 

本記事で取りあげた5人のギタリストと、記事の冒頭で挙げた日本のギターヒーローたち、どちらが「すごい!」のだろうか。絶対量で測れる「テクニック」はわからないが、少なくともインパクトや個性という面では日本のギターヒーローを凌駕しているように思う。

 

彼ら5人のギタリストに共通しているのは、「自由さ」だ。圧倒的なテクニックを磨くことでギターを「自由に」演奏できることに加えて、その独創的なアイデアで既存のギターのプレイスタイルからも「自由」になっているのではないだろうか。

 

彼らはトップテンチャートを飾るようなギタリストにはなれないかもしれないが、僕にとっては永遠のギターヒーローだ。

 

(ライター:カガワ) (アイキャッチ:AxSxE OTOTOYより)

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