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【診断】いまのあなたにぴったりなクラシック音楽!

06/09/2014

 

クラシック音楽、聴いてますか?

 

小学校、中学校と音楽の授業で必ず学ぶ、クラシック音楽。

せっかく教わったのに、敷居が高い、よく分からない等、様々な理由で遠ざかっている方、

多いのではないでしょうか…。

そんなあなたに、今回は新しいクラシック音楽の聴き方をご提案します!

4つのタイプ別にあなたの気分にぴったりな曲を見つけましょう。

 

交響曲って知っていますか?

 

 クラシック音楽で代表的な曲を挙げろと言われると、難しいものがあります。

誰もが聴いたことのある曲と言えば、ベートーヴェンの「運命」あたりでしょうか。

音楽の教科書にも載っていて、「ダダダダーン!」という冒頭(ショックを受けた時のBGMに

多用されていますね)だけが非常に有名となっていますが、

本当は4つの楽章から成る合計30分ぐらいの曲です。

「ダダダダーン!」を知っている人はたくさんいても、

全曲聴いたことがあるという人は意外と少ないと思います。

ところで、この曲の正式名称は“交響曲第5番”。

「運命」というのは、後からつけられた愛称です。(注1)

そして、この“交響曲”という単語、クラシック音楽の題名によく出てきます。

ベートーヴェンは第1番から第9番(日本では大晦日に演奏されることの多い「第九」ですね)まで

作っていますが、他の作曲家も同様です。

色んな作曲家の“交響曲第5番”があります。

 

交響曲 symphony〔英〕 管弦楽のために書かれた多楽章からなるソナタ。

他のソナタがそうであるように,交響曲は18世紀後半の産物であり,その最初の頂点は

ハイドンとモーツァルトにおいてであった。

その起源は,バロックの<コンチェルト・グロッソ>もあげられるが,本質的には,

18世紀前半までに急-緩-急の形式が定着したイタリアふう序曲=シンフォニアであろう。

ハイドンの初期の交響曲ではまだ3楽章によるものが多いが,18世紀半ばになると,

サンマルティーニやマンハイム楽派の作曲家たちによってメヌエット楽章が加えられ、

4楽章形式が確立された。(以下略)

ー目黒惇編『音楽中事典』音楽之友社 p.p.138-139より

 

長く引用してしまいましたが、このように、交響曲はハイドンが確立したといわれる形式の総称で、

“交響曲”と名の付くものには、全て大まかな規則性があります。

さて、数ある規則の中でも今回注目していただきたいのが、

4つの楽章に分かれていて(注2)、それぞれ異なった性質を持つという特徴です。

これらは、スポーツにおけるルールのようなものだと思われます。

つまり、どんなに長い交響曲も性質ごとに4つに分けてしまえば、

それぞれ10分弱の曲になるということです。

1曲で30分近い曲を「これ聴いてみて!」と勧められたとしても、よっぽど暇でない限り聴かないでしょう。

でも、もし1曲が数分で終わるものだったら…しかも、あなたの気分に合わせた曲が選べるとしたら…

どうでしょうか。

ちょっとだけ聴いてみたくなりませんか?

 

今のあなたの気分を一文字で表すと…?

 

日本には、人間の感情を表すのに「喜怒哀楽」という便利な四字熟語があります。

そして、先程挙げた交響曲の楽章数も原則として4つ……

というわけで、自分の主観のみを判断基準として4楽章に適した感情を、

独断と偏見で当てはめさせていただきました。

さあ、今のあなたにぴったりの楽章を見つけましょう。

 

※例に挙げているyoutubeの音源ですが、楽章ごとに上がっているものから選んできたので、

同一の交響曲でも指揮者とオーケストラの組み合わせがばらばらになっています。

あらかじめご了承ください。

 

Q.今のあなたの気持ちを漢字一文字で表すと…?

 

A.喜

B.怒

C.哀

D.楽

 

 

【診断結果】

 

A. 喜を選んだあなたは…

何があったかは知りませんが、嬉しい気持ちのあなたにぴったりなのは1楽章。

曲の始まりを告げる1楽章にある華やかさやうきうき感は、

あなたの嬉しい気持ちを盛り上げてくれることでしょう。

1楽章は曲の冒頭にあたるので、有名な曲はイントロを聴いたことがある場合もあると思います。

特に1楽章はソナタ形式(注3)という形式に則っているので、似たメロディが何度か出てきて

主題が分かりやすい楽章です。

 

W.A.モーツァルト/交響曲第40番 第1楽章

トラフル軟膏ダイハツのCMなど、実は頻繁に使われる主題を持っているのがこちら。

全楽章だと40分ですが、1楽章だと7分半です。ぜひ曲の全貌を聴いてみてください。

 

L.V.ベートーヴェン/交響曲第5番「運命」第1楽章

冒頭の例にも挙げたベートーヴェンの「運命」。

扉をノックするのではなく叩いてくる運命を感じます。

1楽章を通して聴くと分かるのですが、叩き方が割としつこいです。

 

J.ブラームス/交響曲第2番 1楽章

誰もが知る名曲!というわけではないのですが、穏やかで牧歌的なメロディ。

2分20秒辺りから始まるヴィオラとチェロの素敵なメロディが何度も繰り返されるので耳に残ります。

 

B. 怒を選んだあなたは…

むしゃくしゃ、いらいら、怒っているあなたにぴったりなのは4楽章。

曲の最後の盛り上がり、作曲者が半ば勢いで書いたのではとも思えるエネルギーは

あなたの怒りを代弁してくれるでしょう。

怒りを露わにできないあなたの代わりに、金管楽器が叫び、低弦が拳を振り上げ、

ヴァイオリンが唸ってくれます。

映像があれば、指揮者の荒れ狂った姿に自分を投影しても良いでしょう。

数十分間ある交響曲のラストということで、指揮者も奏者も最後の力を振り絞って演奏しています。

 

W.A.モーツァルト/交響曲第40番 第4楽章

最初から飛ばし気味、勢い余ってどこかに突っ込みそうな4楽章。

冒頭は聴いたことのある人もいるのではないでしょうか。

中間部は弦楽器同士、弦楽器と管楽器の言い合い掛け合いに注目です。

 

L.V.ベートーヴェン/交響曲第5番「運命」第4楽章

1楽章では扉を叩いていた運命ですが、4楽章になると体当たりしてるだろ…

というぐらい重量感と勢いがあります。

開けてくれないから怒っちゃったんでしょうか…。

実は、1楽章から3楽章までトロンボーンはずっと音を出しません。

4楽章が唯一にして最高の見せ場となるので、音にも気合いが入っている印象です。

4楽章キタ━━━(゚∀゚).━━━!!!的な。結果、重量感倍増。

 

J.ブラームス/交響曲第2番 第4楽章

ちょっと不満はあるのになかなかはっきり言えない人のように、もごもごと曲は始まりますが、

開始30秒で怒り爆発。

そこからは、流れの速い大きな川から急流、小川まで様々な川を流れていくように曲が進みます。

オーケストラが最後の力を振り絞るラスト3分間は必聴です。

 

C. 哀を選んだあなたは…

悲しみにくれるあなたにぴったりなのは2楽章。

うきうきした1楽章の後に訪れる、静かで穏やかな2楽章はあなたの心と一緒に

せつないメロディを奏でます。

曲によってはゆったりし過ぎて眠くなることもあるでしょう。

構いません。悲しい気持ちは寝て忘れてしまうのが一番だと思いますよ。

 

W.A.モーツァルト/交響曲第40番 第2楽章

ゆったりのんびり。つらいこと、悲しいこともあるよねー…ぽつりぽつりと語るような曲。

この動画では、最初に出てくる写真のチョイスが謎です。(写真への驚きで悲しみが飛ぶかも?)

 

L.V.ベートーヴェン/交響曲第5番「運命」第2楽章

中低弦で始まるメロディの切なさ…!

段々と増幅していくメロディとともに、気持ちが浄化されます。

聴き終わった頃には心もさっぱり落ち着くはず。

 

J.ブラームス/交響曲第2番 第2楽章

チェロのメロディから全てを包み込む優しさを感じます。

怒られて落ち込んでいる時、「大丈夫だよ…(頭ぽんぽん)」ってされる的な…!(妄想世界)

途中に現れる力強いフレーズに元気をもらえます。

 

D. 楽を選んだあなたは…

軽やかで楽しい気持ちのあなたにぴったりなのは3楽章。

中低弦が軽快にリズムを刻むことが多い3楽章では、

スキップできそうなリズムがあなたの楽しい気持ちを表現してくれることでしょう。

繰り返しも多いので、耳に残るかもしれません。それを鼻歌にスキップすれば完璧です。

 

W.A.モーツァルト/交響曲第40番 第3楽章

スキップというよりは早歩き(行進?)に近く、せかせかした曲。

途中に木管楽器達の可愛いアンサンブルがあります。

繰り返しが多く、メロディが頭に残りやすいです。

 

L.V.ベートーヴェン/交響曲第5番「運命」第3楽章(3楽章と4楽章の間に切れ目がないため

4楽章が続けて流れます)

最初はのんびりしていますが、1分50秒からチェロとコントラバスを筆頭に頑張る弦楽器に注目です。

静かに収束するかと思いきや、怒りの4楽章に突入。

 

J.ブラームス/交響曲第2番 第3楽章

ゆったりと優しいオーボエのメロディで始まりますが、途中で3楽章らしくポップになります。

弦楽器と木管楽器の追いかけっこが微笑ましい曲。

 

 

おわりに

 

いかがでしたでしょうか。

音楽は感性によるところが大きいので、好みは分かれると思います。

私は派手な曲が好きなので1楽章や4楽章だけを抜き出して聴くこともありますが、

2楽章最高!という人にも出会ったことがあります。

初めて、クラシックを聴いてみよう!と思った人が、

こんな感じの曲が聴きたいなーと考える参考になれば幸いです。(クラシック通な方には土下座…)

例に挙げたもの以外でも「Beethoven(←作曲者名) symphony(=交響曲) 1st mov(=1楽章)」

という要領で検索すれば、色んな動画が出てきます。

ただ、楽章の部分を削って検索した方が、全楽章つながったもの(こちらの方が著名な

オーケストラや指揮者のものが多い)が数多く出てくるのでおすすめです。

いずれにせよ、ポイントは日本で検索しないこと。ヨーロッパが発祥地なだけあって、

英語で検索した方がはるかに豊富な音源に出会えます。

 

音楽を理解するのに言葉は必要ありません。

どんなに筆舌に尽くしがたい気持ちも簡単に表現してくれます。

たまには、クラシック音楽も良いものですよ。

 

おまけ

 

今回の記事はこちらの動画を見ての思いつきでした↓↓

JAPAN PILL-HARMONIC

 

リファレンス

注1

運命交響曲 Fate Symphony〔英〕ベートーヴェンの交響曲第5番,ハ短調,op.67の通称。1805-8年作曲。

第1楽章のはじめの動機について、作曲者自身が弟子のシントラ―に「このように運命が戸をたたく」といった

ということからこの名がついた。

目黒惇編『音楽中事典』音楽之友社 p.50

 

注2

 ベートーヴェンの交響曲第6番(5楽章)やシューベルトの交響曲第7番(2楽章)のように例外もあります。

 

注3

ソナタ形式 sonata form〔英〕古典派から19世紀を通じてのソナタや室内楽,交響曲などの楽章,

とくに急速な第1楽章に常用された形式。(中略)ソナタ形式の骨格は,呈示部(A)-展開部(B)-再現部(A’)からなる

3部構造で、それに終結部が付加され、提示部の反復とゆるやかな序奏がおかれることもある。

目黒惇編『音楽中事典』音楽之友社 p.p.221-222

 

 

(ライター:シムラ アイキャッチ:wikipedia「フィラデルフィア管弦楽団」のページより)
9月から土曜日を担当させていただくことになりました、シムラです(*^^*)
守備範囲の狭さが悩みなので、クラシック音楽を中心として、自分が知らなかった世界を覗き見しつつ書いてみたいなと思っています。
声をかけてくださった先輩方に感謝です…!

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